《マーチ「エイプリル・リーフ」》トリオの和声進行に対する補正アプローチ

吹奏楽コンクール課題曲II《マーチ「エイプリル・リーフ」》のトリオの和声進行について少しお話をします。


自分も指揮・指導でこの曲にしばらく関わることになりまして、楽譜を読んでいった時に、和声的にイレギュラーな部分がトリオに出てきましたので、さてどうしたものか、と考えて今回のような補正アプローチを考えました。 例えば、ネットでインタビュー記事なんか読んでると、その人は言葉に出していないですが、編集者が親切でカッコつきで文章を補填している時があります。先日のイチローの引退会見から引用すると、「その後、5月にゲームに出られなくなる。あの時も(引退の)タイミングでおかしくないんですよね。」 この「(引退の)」が、記者が補填した部分ですね。ちゃんと文章のつじつまが合うように補正しているということです。 このような感じで、音楽上に本来あるべき文章をカッコつきで補足してみようということです。

で、それがどの部分かといいますと、曲の頭から数えて53、54小節目です。(練習番号Gから数えて11小節めと12小節目。)この部分は、53小節目がB dur(Bb Major)のIIの和音(Cm)、54小節目がIの和音(Bb)となっています。 II→Iという進行は、通常の機能和声に於いては見られません。(ジャズやポップスでは見受けられます。)IV→Iはあります。S(サブドミンナント)→T(トニック)の通常のパターンです。しかし、IIは通常D(ドミナント)に移ります。(Two-Fiveは常套句ですね。) II→Iの進行は実際いろんなジャンルの曲でたまに見受けられますが、少なくともこの曲は、全体的にはクラシカルな機能和声のルールに基づいて書こうとしている、書かれているべき曲だと思いますので、その中で突如現れるこのII→Iは、イレギュラーだと言えると思います。 IIは通常ドミナントに移ると書いた通り、ずばりII→V→Iというように、ドミナント和音を入れてあげればOKです。ここでは、属9の準固有和音根音省略型、コードで書くとAdim7を入れてみました。

(※楽譜の無断転載ご遠慮ください) 本当は、もう少し適正にヴォイシングを配置しても良かったんですが、コンデンススコアのヴォイシングをそのまま採用しました。(本当はこんな下に9thがない方が良い。) この両者を弾き比べてみて、赤で追加したドミナントを感じてみます。

で、実際の楽譜を演奏する時も、補正した適正な和声の流れをイメージして演奏してみる、という脳内補完です。実際に楽譜を変えて演奏することはできないので。 少なくとも、文法的に適正な音楽の流れを確認するだけでも多少の役には立つかと思います。 (当然、これが唯一の解というわけではなく、アプローチぼ一例です。)


これを書きながら思い出しましたが、作曲のレッスンで、レッスン生の方がたまにII→IだったりII7→Iを書かれることがありました。古典的な和声学的視点で見るとイレギュラーですが、やはり、これだけ色んな和声進行や和声そのものが溢れかえっている現代においては、もはや一般的な現代人にとっては何ら違和感のない進行なのでしょう。(ジャズやポップス系のコード理論書ではサブドミナント終始の一例としてII→Iが紹介されています。)

この補正アプローチも含め、トリオの部分の和声の解説を動画にしてみましたので、よろしければご覧ください。 なぜドミナントの補正和音をFではなくAdim7にしたのかも、この動画で解説しています。

(後半にちょろっと弾いたフレーズ最後のカデンツとメロディーは手癖で違うこと弾いてるのに気がつきました(汗)。まぁ本題には関わらないのでスルーしてくださいm(_ _)m )

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