東京のプロ吹奏楽団、東京吹奏楽団(東吹)がGWの5/6(月)「東吹スペシャルコンサート〜日中韓の名曲を吹奏楽で〜 Wind band Music of East Asia」にて、拙作《白の月に舞う》を取り上げて下さるようです。 《白の月に舞う》は、ISCM(国際現代音楽協会)が毎年開催する世界中の作曲家の作品を集めた現代音楽祭「World New Music Days」の2009年スウェーデン大会で入選、GotlandのVisbyにてGotland Wind Orchestraに演奏していただきました。その後、日本でも「21世紀の吹奏楽 第16回響宴」に入選し、現在はブレーン社にて出版(販売)されています。 2008年に書いた作品ですが、正確に言えば、2006年に書いていた未完の作品の序奏部を改訂したものです。当時は、コンクール至上主義の側面を持つ日本の吹奏楽界の閉塞感や音楽多様性の欠如に嘆き、芸術音楽としてみたときの吹奏楽の一般的な認知や支持の低さにも一石を投じたいという思いでいました。この作品は、内容的にも時間的編成的規模も日本の吹奏楽スタンダードには見合っていません。(約4分で、"スクールバンドを意識していない"小編成。) しかしながら、私がいつも標榜している「流れの美」に真正面から取り組んだ作品で、個人的に思い入れが強いです。タイトルが示す通り、月の満ちる時の流れと姿そのものの美しさに似せようとしています。また、月の魅せる、時間と共に満ちていく美的感覚が、白装束による韓国の伝統舞踊「サルプリ」を想起させることから、「白」の文字を付し、すこしその香りを漂わせています。また、光が増すにつれ次第に明らかに露出するリズムは「長短」(チャンダン)という朝鮮半島の伝統的リズム体系の中の一種を引用しています。 他のプログラムを見てみると、概ね東アジアの民謡をベースにした作品が並んでいます。私も民謡をフィーチャーした作品は沢山持っていますが、それらではなくて、(どのような経緯でこの選曲になったのか、私は関わっていないので存じ上げませんが、)この自身の創作モットーが比較的純粋に投影された作品が東吹さんの演奏会にプログラムされることを光栄に、嬉しく思います。そして更に、この演奏会は「東アジア文化都市2019豊島パートナーシップ事業」ということで、尚のこと嬉しいです。 何故かといいますと、私が常々東アジアというフィールドを意識して活動していることもあるのですが、2年前、2017年の東アジア文化都市2017は、日本からは京都が選ばれており、その東アジア文化都市2017京都オープニング公演第1部の全曲作曲、プロデュースを担当させていただいたからです。長唄三味線、二胡、テグムという発音原理の違う3カ国3者の楽器+韓国舞踊、ピアノ、ソプラノという布陣で、既存の曲のリアレンジと、目玉となる新作《古木參天さんざめき》を発表しました。(京都芸術センター) 本当に自分にピッタリのプロジェクトでとても充実した舞台を満員のお客様と共有できた良い思い出です。それだけに、以降もこの3カ国の文化事業である東アジア文化都市事業を応援しておりました。そこでまた作品が関わることができるのは、私にとってはとても嬉しいことです。 私もオーディエンスとして聴きに伺おうかと思います。 今からとても楽しみです!
