生物学者の福岡伸一さんのファンです。私の音楽観にも大きく影響を与えた『生物と無生物のあいだ』でどハマりし、『世界は分けてもわからない』の開放的な読後感は今も忘れません。芸術にも造詣が深く、『芸術と科学のあいだ』なども刊行され、上質な小説のような物語の中に生命の真理を説く筆致は『動的平衡』のシリーズで隆盛を極めています。 特定の細胞の働きを見るために顕微鏡でいくら分析しても、結局生命の流れの中でしか、細胞はそれとして振る舞いません。生命の鍵は動的平衡にあるというこの真実は、まさに音楽のそれだと思います。私たちは合奏練習や個人練習などでユニゾンやハーモニーのピッチを取り上げたり、リズムを拾い上げてヒステリックに合わせようとしますが、音楽的なエレメントが揃っていること自体は音楽でもなんでもないわけです。それが音楽の流れの中でどう振る舞うかを見失うと、ただ整理したサウンドを時間軸に重ね並べているだけの作業になってしまいます。 作曲でも、何かの法則に当てはめて機械的に音を選択したり、グリッドに頼ってパズルのように音の模型を並べていくような作曲は、便利で効果的な場合もありますが、頼りすぎて音楽の流れ(=生命の流れ)が感じられないような音楽にならないように気をつけたいものです。作曲の目的によるので、もちろん一概には言えませんが、私の場合はそのように考えています。 音楽に取り組むときは、そのような生命科学的なイメージも合わせ持っております。なので、私がしばしば関わらせていただく吹奏楽や幼児音楽などの業界の一般通論とは少し別の角度や論法で取り組むことも多いです。といっても、まだまだ未熟ですので、皆さんに助けていただきながら、勉強させていただきながら実践を続けていきたいと思います。 (写真は、息子が「ウルトラマンルーブ」(限定カラーver.)に、「宇宙戦隊キューレンジャー」(1シーズン前のスーパー戦隊)に出てくる「リュウボイジャー」の頭をかぶせて作った「ウルトラマンルーブ新グルーヴカブトモード」。本人命名。) #生物学 #音楽 #福岡伸一 #吹奏楽 #生命 #動的平衡 #作曲 #幼児音楽
