「流れ」の美意識

 きれいな満月に出会うと、多くの人は心奪われ、魅了されると思います。 それは僕も同じです。ストーリーのクライマックスと言えるでしょう。  しかしクライマックスは、通常突然にはやってきません。そこに至る綿密な過程があって、初めてGrandiosoなクライマックスが生きてきます。そのプロセスの描き方や感じ方で、クライマックスの光度や明度は変わってくると思います。


 月のお話でいうと、それは絶え間ないサイクルの中で新月から徐々に満ちていく15日ほどの様であり、同じくらいの時間をゆっくりと闇に溶け込んでいく様です。  僕は、その満ちていき変容していく様、その流れる時間、うつろいのグラデーションに美しさを感じます。そのような美が好きです。そのような時間の愛し方で音楽にも接して。そのように人生も過ごしたいものです。  作曲においても、2015年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲V『暁闇の宴』(2014/吹奏楽/出版:全日本吹奏楽連盟)はそのような理念が投影されています。他にも『白の月に舞う』(2008/吹奏楽/ISCM「World New Music Days 2009 Sweden」入選、第16回響宴入選 / 出版:ブレーン)や『白の草原にまつわる物語』(2008/トランペット、トロンボーン、ピアノ/2015吹奏楽版出版:ティーダ)などで同様の想が反映されています。吹奏楽以外でも、『白の御神樂』(2012/ソプラノとコントラバス。他に巴烏とファゴット、ソプラノと箏、ソプラノとピアノ等)、『幽客』(2013/ピアノ)、『下弦挽歌』(2014/トリオダンシュ/出版:ティーダ)『永訣の手記』(2008/月の流れを詠った朗読、クラリネット、コントラバス)など、基本的に創作のベースに同じ美意識があります。近年の金管独奏のための連作『Flow Composition』(I 2014 トロンボーン/ II 2017 ユーフォニアム)も「流れ」を意識している点では同じです。  今後もこの美意識は大事にして創作に取り組んでいきたいです。 (写真は、『永訣の手記』を収録したアルバム「Sarang-朴守賢朗読音楽作品集」)

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